桐原醸造新聞

桐原醸造新聞 2022年08月号

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いつもご注文ありがとうございます。

体温のような気温が普通になりつつある今年の夏。天気予報で30度を切ると「あら今日は涼しいのね」なんて思ってしまう「慣れ」の中、皆さんどうお過ごしでしょうか?

今年も様々な冷感グッズが出ていますが、この猛暑にはなかなか勝てません。保冷剤をつけてもらった冷凍食品も家に着いたらヘニャヘニャ、なんてこともあるでしょう。外から冷やすだけでは足りない!と、冷たいものを摂りすぎるとお腹を壊すし‥ それなら、冷感グッズなんてなくても背筋から凍りつく怪談話なんぞはいかがでしょうか。

昔の怪談話というと、ろくろ首や耳なし芳一あたりが有名ですよね。首だけが宙を飛んでいたり、お墓や火の玉が出てきたり、いかにも「ヒュ〜ドロドロ〜」の世界です。日本では、なぜ夏に怪談話をするようになったのでしょうか?

今はさまざまな娯楽がありますが、昔は芝居といえば貴重な娯楽で、大変多くの人に親しまれてきました。日本では、お盆になると死んだ人の霊が帰ってくるとされているので、先祖の霊を家に迎えて供養するようになりましたが、その中には、この世に恨みを抱いた怨霊や無縁仏もいて、成仏できずに幽霊になって現れることもあるようです。お盆の時期におこなわれる芝居は「盆芝居」や「盆狂言」と呼ばれ、浮かばれぬ霊の無念や苦しみを語るようになり、夏の歌舞伎の演目としても定着して行ったそうです。そこから、現代版怪談話が生まれていったのですね。

現代版怪談話と言って多くの人が思い浮かぶのが、「トイレの花子さん」ではないでしょうか。
トイレに向かって名前を呼ぶと返事をする花子さん。地域によって少しずつ違いはあるようですが、基本的には次のようにして花子さんを呼びます。

学校の校舎の3階にあるトイレを手前から奥に向かって順番にノックし、「花子さん、いらっしゃいますか?」と尋ねます。これを3回ずつおこなうと、手前の3番目のトイレから「はい」と返事が返ってきて、そのトイレのドアを開けてしまうと、花子さんに中に引きずり込まれるそうです。怖いけどドキドキしながら試したことのある人も多いのではないでしょうか。

都市伝説の「メリーさんの電話」も有名です。
女の子が、大事にしていたメリーという人形を、引越しで処分しなければなりませんでした。ある夜電話がかかってきたので女の子が出ると、「私、メリーさん。今ゴミ捨て場にいるの」と
言って切れます。女の子はいたずらだと思いましたがまた電話がかかってきて、「私、メリーさん。今、〇〇駅にいるの」「私、メリーさん。今郵便局の近くにいるの」とだんだん女の子
の家に近づいてきます。そしてとうとう「私、メリーさん。今あなたの家の前にいるの。」というので、少女が家の玄関を開けても誰もいません。するとまた電話がかかってきたので出ると、
「私、メリーさん。今あなたの後ろにいるの!」

…と最後は怖い顔と声で話しましょう。

今でこそ、「ホラー」というジャンルがありますが、日本人は昔から怪談話を楽しんでいました。「百物語」では、新月の夜に数人が集まり一人ずつ怪談話をしていきます。100本の蝋燭
に火を灯し、話を終えると1本ずつ火を消していきます。そして100本の蝋燭が消えたその時、怪が現われるとされていました。今でいう肝試しのようなものだったのですね。

人はなぜ「恐怖」を楽しむのでしょうか。自分の身には起こらないと思っているから?恐怖を克服したいから?それともやっぱり、少しでも涼しい思いをしたいから?

今年のうだるような暑い夏は、娯楽の一つとして、皆さんもぜひ怪談話を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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